ハエトリソウの育て方から、植え替え方法までご紹介します。
ぜひ参考にしてくださいね。
目次
ハエトリソウって?
食虫植物の中でも、目に見えて動いて虫を取るので、
最も分かりやすく、食虫植物の中でも代表的な存在です。
この植物がきっかけで、食虫植物の世界に興味を持った人も、
少なくはないでしょう。
最近では夏になるとホームセンターや、一般の園芸店でも、
よく販売されています。
名前がハエトリソウとありますが、ハエしかとらないわけではありません。
ハエの他、ダンゴムシ、アリ、ハチなどをとらえる様子も観察できます。
また、10倍以上に薄めた牛乳を、肥料代わりに霧吹きで与えたり、
鰹節、チーズ片を虫の代わりに与える愛好家もいます。
この植物の故郷は意外に知られていないのが実状で、
北アメリカのノースカロライナ州と、サウスカロライナ州郊外に、
自生しています。
地元のアメリカ人でさえ、この奇妙な植物が自国に生えている事を、
知らない人が多いそうです。
四季の変化のある北アメリカ、しかも平地の湿地に生えていることからも、
栽培は簡単なのです。
サギソウや、トキソウなどを育てたことのある方なら、
同じ要領で栽培可能です。
手に入れたばかりは、葉をいじって、
閉じるのを楽しむ人がほとんどでしょう・・・。
しかし、これはハエトリソウにとっては、
とってもエネルギーを消費することなので、
この空運動を何回もやっていると、いずれ衰弱して枯れてしまいます。
葉が閉じるのを見たければ、虫をしっかり与えるようにしましょう。
また虫ではなく、チーズ片や肉の欠片でも構いませんよ。
捕虫のメカニズム
開いた葉の内側からは、虫を誘引する蜜が分泌されます。
その葉の内側には、棘が両側に3本ずつ計6本あり、
それを触ると葉が素早く閉じますが、一回触っただけでは何の反応もありません。
続けて2回刺激を与えると、葉が閉じる仕組みになっています。
これは、一回の刺激だと、虫の頭しか捉えられないか、
ヘタをすれば逃げられる可能性もあるからでしょう。
2回目の刺激で葉が閉じるということは、
物が確実に葉の中にいる可能性が高い理由で、
こんなことを長い進化の過程で会得したのだから驚きですよね。
ちなみに、この2回目の刺激は同じトゲでなくても、
葉は閉じます。
トゲに与えられた刺激は、電気信号として、
全体に伝達され、葉が閉じます。
閉じる速度は0.5秒ほどで、その仕組みはオジギソウの葉が閉じる運動と同じで、
内外細胞の膨圧の変化と、差によるものです。
ハマグリなどのちょうつがいの構造とは違います。
また歯が閉じた瞬間は、葉の内部には空間が残されており、
虫が動けるようになっています。
もし補虫した際に足などの一部が、歯の外に出ていた場合、
虫が動きもがくことにより、その出ている部分も、
葉の中に入れてしまうとする、何とも貪欲なまでの仕組みなのです。
ハエトリソウの育て方は?
育て方
ハエトリソウに限らず、食虫植物の栽培は難しいとよく言われます。
しかし、食虫植物=熱帯植物という間違った先入観が、
食虫植物の栽培を、より難しくしていることに気付いていただければと思います。
ハエトリソウの故郷はアメリカ合衆国です。
常夏の熱帯地方ではありませんので、
寒くなれば、冬芽を形成して越冬します。
そして春になれば、再び新しい葉を展開し、生育を始めます。
そんな、基本的なことを知っているだけでも、
どのように栽培したらよいかの、参考になるかと思います。
置き場所
日光のよく当たる場所に置きます。
初心者の方は、室内で栽培されてしまうことが多いようですが、
直射日光によく当てて栽培してください。
真夏以外は、終日日光が当たれば理想ですが、
少なくとも半日は当たる場所を、選んでください。
水の管理
ハエトリソウは、湿地に生えてる植物なので、
夜の乾燥は禁物です。
受け皿に水を張って、そこに鉢を置きます。
これを「腰水」と言います。
腰水の深さは、1~2cm程度としましょう。
これで鉢の中は、常に湿っている状態を、
保つことができるわけです。
植え方
ホームセンターなどで購入した場合は、
そのままの状態で、栽培を続けましょう。
植え替えは、翌年の1月~2月にかけて、
休眠中で芽の成長が止まっている時に行います。
食虫植物の栽培において、植え替えという作業は、
実に大切なもので、これを実施するとしないとでは、
翌年の生育が全く異なります。
特にハエトリソウは、それが顕著です。
①まずは、鉢から株を抜き取り、古い水苔、用土は取り除きます。
根の隙間にも古い用土が詰まっているので、ピンセットで丁寧に抜き取って、
バケツの水などで、根の回りをきれいに洗います。
②抜き取った株に複数の芽が生じている場合は、株分けをします。
③新しい鉢と用土を用意します。
鉢は2~4号程度のものでいいでしょう。
素焼き鉢、駄温鉢、プラスチック鉢、ビニールポットなど、
何でも構いません。
また、おしゃれな化粧鉢に植え、土の表面に化粧砂を敷くことで、
楽しく、また可愛く栽培できます。
用意した鉢の鉢底に、鉢底ネットや鉢片、軽石などの砂利を入れ、
水はけがよくなるように工夫します。
これはハエトリソウ以外でも同様で、園芸の基本と思ってください。
軽石などは、腰水した時の深さと、同じぐらいになるようにするのが理想的です。
用土には水苔を使うのが基本ですが、最近は高価なため、
鹿沼土、パーライト、ベラボンを同僚程度配合したものを、
使うのもいいでしょう。
いずれの用土でも、使用する時には十分に水分を吸わせてから使用します。
用意した鉢に、一株ずつ植え付けます。
④十分に水を吸わせた水苔を、根の周りに巻きつけていき、
鉢の大きさと同じぐらいになるまで、水苔を周りにいたし、
鉢にすっぽりといれます。
⑤そして不足する部分に、水苔を埋めていきます。
ややかために植え付け、上からたっぷりと水を与えます。
鉢の中の水が、4~5秒でさっーと、流れるようになれば完璧です。
鉢内に水がたまるようでは、水苔を固く詰めすぎですので、
調整してください。
増やし方
株分け
株が充実していると、脇から新芽が出てきます。
そして十分な大きさになったら、株分けをしますが、
植え替えの時期が最適です。
ハサミなどを使わず、指で裂くように分けますが、
軽く力を入れて株が別れるくらいがよく、
無理にわけないようにします。
1シーズンで十分生育すると、2~5芽位は得れるでしょう。
葉挿し
葉を根元から外し、用土にさしておくと、その付け根から発芽、
発根していきます。
この方法は、成長が活発になる5~7月頃にやるのが最適です。
実生
5月~6月にかけて、白い綺麗な花が咲きます。
そして8月頃にタネが取れますので、それをすぐにまけば、
1~2ヶ月ほどで小さい苗を得ることはできます。
四季の管理
四季の変化のある場所に、生育している植物ですので、
10月下旬にもなると、葉が成長の止まり、冬芽を形成し、
冬眠状態になります。
このとき「枯れてしまった」と思う方がいるようですが、
生きているので、置き場所も変えずに、日当たりの良い場所で、
そのまま水を切らさないように、管理してください。
やがて春になると、自然に冬芽が展開し新しい葉が出てきて成長を始めます。
ハエトリソウの品種
ハエトリソウは一属一種ですが、葉や柄の形や色によって、
様々なタイプが存在します。
そのうち代表的なものをいくつか紹介しますね。
ロゼットタイプ
葉が放射状に広がる系統で、最もポピュラーなものでしょう。
園芸店やホームセンターでよく見かけるのも、
この系統が多いようです。
葉柄が短く、捕虫葉が大きく、葉の内側が、
真っ赤になるのが特徴的です。
まれに赤くならずに緑色になる系統も見られます。
エレクタタイプ
葉が放射状に広がらずに、やや斜めに立ち上がる系統です。
小苗から中苗の段階ではロゼット状だったものが、
成株になるにつれて、立ち上がってしまうということもありますので、
成株になるまで、系統がはっきりしない場合もあります。
自生地では、両タイプが混在しているようです。
ビッグマウス
ロゼット状に歯を広げますが、捕虫葉が通常の、
1.5~2倍近い大きさのものです。
葉の数も多く、丈夫でよく育ちます。
一部の業者や、愛好家で普及に努め、
ホームセンターでよく見かけるようになりました。
ジャンボマウスという名前で出回っているのもこの系統です。
京都レッド
ロゼットタイプですが、やや立ち上がり葉が赤黒く色づきます。
赤くなる系統は、他にもいくつか存在しますが、
ロゼット状になるのは、ピンクヴィーナスとこの系統だけで、
人気のある品種です。
シャークティース
捕虫葉の棘の部分が、サメの歯のようになっていることから、
この名が付きました。
基本的には、エレクタタイプの変種です。
園芸店やホームセンターなどで、まれに見つけることができます。
同様の系統に、デンタータと命名されたものがあります。
まとめ
いかがでしたか?
ハエトリソウにも色々あって、
食虫植物って、面白いですね。
ホームセンターや園芸店に行ったときには、
ちょっと見てみると楽しいでしすよ!(*^_^*)